概要
本システムは、日本の山間部、特に携帯電話の電波が届かない地域において、重要なデータ通信を可能にするために構築された衛星通信システムです。東北地方の山々に設置され、風況観測鉄塔やドップラーライダーから得られる観測データ、さらに燃料電池システムの状態監視などを遠隔地へ送信するために、静止衛星を利用して通信を行っています。
このシステムの核心部分は、強固に設置された衛星アンテナです。通信の安定性を確保するために、頑丈なアルミ製のトラス構造架台の上にアンテナを設置しています。これは、特に積雪が多く樹氷でも知られる東北地方の厳しい気象条件に対応するための工夫です。衛星アンテナの設置場所は、樹氷で有名な山々に位置する3つの観測地点であり、これらの地点ではスカパーJSATの衛星回線を利用して、ドップラーライダーおよび燃料電池システムの遠隔監視を実現しました。
観測期間は1年間に及び、電力供給が限られた環境下での運用となったため、アンテナに内蔵されているヒーターは停止した状態で使用しました。にもかかわらず、冬季にアンテナのお椀部分に雪が付着しても、衛星通信には大きな支障はなく、安定したデータ送受信を継続することができました。
こうした実績は、東北地方の山間部のように厳しい自然環境下においても、衛星通信システムが有効に機能し、観測データの収集・監視業務に貢献できることを示しています。
- 場所
- 東北地方山間部
- 観測期間
- 1年間




