概要
東北地方の背骨にあたる奥羽山脈は、豪雪地帯ですが、その雪質から樹氷が生成されることで有名です。トラス鉄塔に対しても雪が連続的に付着し、12月中頃から氷柱のようになってしまい、風を全面に受けて強い風荷重が掛かります。
本事例では、豪雪地域における風況観測のため、支線構造を通常の6段から9段に強化し、アンカー数も9箇所に増設した「60mトラス(豪雪地域対応)」タイプの鉄塔を導入しました。
設置後初めて迎えた厳冬期(12月末)には鉄塔本体への大量の着氷が発生したものの、構造的な問題は一切発生せず、無事に越冬しました。センサー機器については氷結による一時的な欠測があったものの、耐候性能の検証結果として貴重な観測データを得ることができました。
この経験から、鉄塔構造においては支線およびアンカーの強化が豪雪地対応として有効であることが実証され、今後の寒冷地向け設計の基準策定にも大きく貢献しました。
- 場所
- 東北地方(豪雪地帯)