概要
近年、風力発電の風車は大型化が進み、国内の陸上風車でも羽根の直径が150m級の機種が一般的になりつつあります。羽根の下端と上端の高さの差が100mを大きく超えるため、風車を建てる前の風況調査では、ハブ高さの風だけでなく、羽根が回る範囲全体の風を高さごとに把握することが重要になっています。風は一般に上空ほど強くなり、高さによって風向が変わることもあるため、発電量の予測や風車の機種選定には、高さ方向の細かい風のデータが欠かせません。
上空の風を地上から測る装置として広く使われているのが、ドップラーライダーです。レーザー光を上空へ照射し、空気中のちりに当たって跳ね返ってきた光のわずかな周波数のずれから、風の速さを求めます。ドップラーライダーには、高さの見分け方の違いによって「CW(連続波)方式」と「パルス式」の2種類があります。
CW方式は、カメラのピントのようにレンズの焦点を合わせた高さの風を測り、高さを1つずつ順番に切り替えながら観測します。近い高さを細かく測るのが得意な一方、測る高さを増やすと、1つの高さに使える時間やデータ数が少なくなります。また、高い所ほど風をまとめて測る範囲が長くなるという特徴もあります。
パルス式は、ごく短いレーザー光を発射し、光が戻ってくるまでの時間で高さを見分けます。近い高さからの光は早く、遠い高さからの光は遅れて戻るため、1回の発射で多くの高さの情報を同時に受け取れます。測る範囲の大きさも高さによらずほぼ一定なので、多くの高さを同じ条件で観測できるのが大きな特長です。
風況調査では、10分間の平均風速に加えて、その間の風の強弱の変化(風速のばらつき)も重要な評価項目です。ばらつきを正しく求めるには十分なデータ数が必要で、多くの高さを同時に測れるパルス式は、羽根が回る範囲全体を細かく観測したい陸上風力の調査に向いています。なお、風のばらつきの評価では、どちらの方式でも観測塔のデータとの比較や補正を含めた検討が大切です。
当社が提供するMolas B300はパルス式のドップラーライダーで、最大24高度を設定して、羽根の下端からハブ高さ、上端までをまとめて観測できます。CW方式にも長所があり、大切なのは観測の目的に合った方式を選ぶことです。当社では、計画地の条件や調査の目的をうかがったうえで、最適な観測方法をご提案いたします。風況観測のご相談やドップラーライダーのレンタルについて、お気軽にお問い合わせください。




